4.9. 進化との関連 : 抗生物質耐性の進化
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4.1. 生物学と社会 : 細菌の細胞を標的にする薬剤で述べたように、多くの抗生物質は侵入した微生物の細胞構造を破壊させる
この仕組はきわめて効果的
1940年代に初めてペニシリンが導入されたとき、ペニシリンは「驚異の薬」のように思われ、ヒトの感染はもう終わりだという医者もいた
楽観的な予言は進化という能力を考慮に入れていなかった
細菌集団の中で、さまざまな細菌がつくるタンパク質が、ランダムな遺伝的変異によって少しずつ違ってくる
細菌の中には、ある抗生物質の効果を減らすタンパク質をつくるのもあるだろう
たとえば、ヌクレオチド配列のランダムな変異はペニシリンの不活性化や分解を起こさせる酵素の産出を導くかもしれない
環境が変化したとき、利益をもたらす遺伝的変異をもった固体が自然選択によって選択される
この場合、抗生物質の導入が耐性菌を選択するという選択圧になる
そのような細菌固体は生き残って、同じタイプの細菌をさらに増やして繁殖する
4.4. 科学のプロセス : 抗生物質耐性菌はどのようにして生じるかで考察したMRSA菌株のような薬剤耐性菌がまれなものではなくなった
抗生物質耐性の問題に我々はどのように取り組めばよいか
畜産業者は家畜の成長促進と病気を防ぐ目的で動物の餌に抗生物質を添加する
このような習慣は標準的な抗生物質に耐性をもつ細菌を好んで選ぶことになるだろう
医者の中にはたとえばウイルスに感染した患者に対して効果のない抗生物質を過剰に処方する者もいる
また、患者は処方された抗生物質の服用を途中で止めてしまうという過ちを犯すこともある
この過ちは薬の効き目の遅い耐性菌を生き残らせ、増殖させてしまう
薬剤耐性菌の進化は公衆衛生上の深刻な問題
米国では毎年10万人近い人々が院内感染によって死亡している
多くは薬剤耐性菌によるもの
1940年代には多くの細菌に対する感染に効果があったペニシリンは、今では元の形では事実上無効
新薬が開発されるが、耐性菌の進化によって効果が減らされるということが続く